破れた恋に、火をつけて。〜元彼とライバルな氷の騎士が「誰よりも、貴女のことを愛している」と傷心の私に付け込んでくる〜

「クレメントと彼がライバルと言われているのは、知ってるでしょう。だからもしかしたら、何かの嫌がらせの一環かもしれないと思って……」

 氷の騎士ランスロット・グラディスと、私の元彼である炎の騎士クレメント・ボールドウィンの不仲は割と有名だ。皆が知っていると言っても、過言ではない。

 確かに昨日少しだけ話したランスロットの淡々とした様子から察すると、俺様タイプのクレメントとはどう考えても性格は合わなさそう。

 二人が普段どんなやりとりをしているかは、見たことのない私にはわからないにせよ。そういうややこしい関係性は、警戒しておいて損はないはずだ。

「元彼とライバルだからって、なんなのよ。もうディアーヌとクレメントとは、他人同士なんだから遠慮なんか、しなくて良いわよ。あんなに美形で出世確実の人、どこを探してもなかなか見つからないわ。彼がディアーヌが良いと言っているんだから、一度付き合ってみれば良いでしょう」