バスが駐車場に到着すると、私達は望月(もちづき)先生に続いて山道を登っていく。

 あちこち森ばっかり…。
 毎朝、駅の上り階段で足腰鍛えられてるはず? なのに。
 つ、辛すぎる……。
 しかも今頃眠気が……。

 ふらぁ……。

雪乃(ゆきの)!」
 (そら)くんがパシッ! と私の左腕を掴む。

「ご、ごめ…眠くて…ありがとう」

雪乃(ゆきの)、口、開けろ」

「え? 口?」
 口を開けると、(そら)くんは顎を掴み、グレープ味のグミを1個落とす。

 あ…口の中でグミキャンディーがパチパチとはじけ出して……。

「眠気、少しは冷めたか?」

 少しどころじゃない。
 ドキドキが止まらなくて、もうぱっちりだよ。

「う、うん。(そら)くん、ありがとう」