「じゃあ入れてくる」
「階段上がったら俺の部屋だから先に行ってろ」
「ボロハンガー使っていいぜ」

「分かった」

 私は階段を上がっていく。

 寒い…。
 四角い窓からはコンクリートと港、停まった船が見える。
 綺麗…。
 だけど、部屋の中はボロハンガーにエアコンとベットしかない…。
 寂しい感じ…。

 私は濡れたハーフコートを脱ぎ、ボロハンガーにかける。

 (りゅう)くんがおぼんを持って上がってきた。

 おぼんにはミルクティー入りのブルーとピンクのペアマグカップが並んでいる。

 (りゅう)くんはベットにおぼんを置くと、ピッとエアコンの暖房をつけて座り、
 ぽん、とベットを叩く。

「まぁ、座れよ」

「あ、うん」

 グレーのボアパーカー姿の私は恐る恐る隣に座った。
 するとマグカップを手渡される。

 あったかい…。
 雪柄に英語でメリークリスマス?
 シンプルで可愛いマグカップ…。

 私は一口飲んでみる。

 あ、ミルクティー、美味しい。

 お互いにぜんぶ飲み干すとおぼんの上に置く。
 すると(りゅう)くんが冷たい表情で見つめてきた。