放課後の誰もいない屋上は、あたしにとって憩いの場だ。

いつものように行くと、フェンスにもたれ掛かる大和くんが手招きをした。

「今日はね」

あたしがその日の話をすると、大和くんはにこにこと聞いてくれる。

あたしが彼に恋心を抱くまで時間はかからなかった。


クラスも部活も分からない。


もっと彼のことが知りたい。


あたしはある日、担任に大和くんについて聞いてみることにした。


するの、先生は顔面蒼白になった。


「先生……?」

「あのな、落ち着いて聞け――」


ずっと先生の言葉が離れず上の空だった。

あたしは授業中にも関わらず屋上をめざして駆け出した。


「大和くん!」


しかし、彼はどこにもいなかった。


「嘘だって言ってよ!」


あたしはコンクリートの上にへたり込むと、嗚咽を零した。


先生の言ったことが何度も反芻した。


“大和は、相川大和は、二十年前にいじめを苦に自殺したんだ――