体育のバスケで突き指をしてしまい、チョコを用意出来なかった。

「ごめんね? 今年は手がこんなんだから用意出来ないの……」

あたしは彼に申し訳なくて頭を下げて謝った。

だけど、彼は怒りもせずクスッと笑を零してあたしの髪を優しく撫でた。

「今日は僕の家においで?」

「へ?」

脈絡のないお誘いにあたしは間抜けな声を洩らす。

「チョコより瑞穂ちゃんが欲しいの。だから、今日は独り占めさせて?」

彼はあたしの怪我をした手を取り、ちゅっ、と指に口付けを落とした。


チョコは渡せなかったけど、今年はとびきり甘いバレンタインデーになりそうです……。