翌日、私はチームのメンバーにホットプレート餃子のアイデアを早速伝えてみた。
 
「あー、なるほどね。ホットプレートか。確かにそれなら子供でも作れそうだね」
 ナベさんはふむふむと頷く。
「でも、火力と、油跳ねが問題なんです」
 圭人が心配していた点も伝える。
「油跳ねは大丈夫っしょ? 既存商品でもかなり抑えられてるし。ねえ、久保っち」
 ヤッシーが資料を捲りながら言う。
「ああ。火力は……そうだな。ホットプレートの温度でも美味しく仕上がるように材料の配合を調整して、試作してみるか」
「久保君、そんなことできるの?」
「まあ。俺、一応理系なんで……」
 し、知らなかった。今さらすぎて申し訳なくなる。
「あの、モエモエさんも手伝ってくださいね……?」
 長い前髪の隙間から、ようやく目が覗いた。意外にも切れ長で涼しげな目。ちゃんとおでこを出せばイケメンだろうに。
「はいっ、もちろんです! 何でもやるので教えてください、久保っち先輩!」
「や……呼び方……」
 
 こうして、試作に次ぐ試作が始まった。