「——なるほど。子供でも作れる冷凍餃子かあ」

 ホットプレートを二人で囲む。焼きそばのソースのにおいがたまらなく食欲をそそる。

「そうなの。子供が親と一緒に作るとか、親に作ってあげるとか。シチュエーションは色々あると思うんだけど」
「でも、何でまたターゲットを子供にしたの?」
 焼きそばを取り分け、お好み焼きの生地を流し込みながら圭人が質問してきた。
「冷凍餃子って、もう結構出回ってるの。うちは後発だから、何をやっても他社の二番煎じみたいになっちゃうのよね」
「そっか」
「そう。だから他社とは違うところに目を向けてみようと思って。子供向けの冷凍餃子なんてなかなか無いでしょ?」
「確かにそうだね。僕も子供の頃色々作ったけど、餃子は難しいイメージがあって手を出さなかったなあ」
「だから子供でも簡単に、安全に作れるように、ホットプレートでできたらいいなぁって。それにほら、子供だけじゃなくて、私みたいに料理が下手くそな大人にも役立つかも」

 自虐ネタのつもりだったのに、圭人はあんまり笑ってくれなかった。

「萌子さん、料理が苦手なの?」
「え? あ、うん……。いい歳して恥ずかしいよね。元彼にも散々バカにされたわ……」

 萌子の腕じゃ男の胃袋は掴めねえなあ、とよく笑われた。初めのうちはただからかっているだけだったけど、次第に本気でバカにされるようになった。……ああもう、貴之のことなんか早く忘れたいのに。