全員が、息を呑む。ドナーティにアントニオ、ジョットらは、唖然として、ビアンカとステファノを見比べた。
「駄々っ子、とな?」
ややあって、ステファノが繰り返す。ビアンカは、キッと彼を見つめた。
「そうですわ。殿下はアントニオさんに、国王陛下のなさったことを謝罪されたとか。ですが、今の殿下の言動は、陛下と何ら変わりございません。女性を意志に反して、連れ去ろうとなさっておいでです!」
「この……、口を慎まないか!!」
ドナーティが、こめかみを震わせる。だがステファノは、彼を制した。
「よい。ビアンカ嬢の申したことは、その通りだ」
「ですが……」
ステファノは、くるりと踵を返した。
「ドナーティ。帰るぞ」
「はあ……。ボネッリ邸でございますね?」
「違う。王都へだ」
ビアンカは、ハッとしてステファノを見上げた。
(諦めてくださったの……?)
「長時間、世話になったな」
一言そう告げると、ステファノは食堂を出て行きかけたが。ふとこちらを振り返った。
「ああ、パッソーニ殿は共に来るのだぞ? そなたはもう、王立騎士団の一員ゆえ」
御意、とドナーティが頷く。アントニオは、ドナーティに引きずられて出て行ったのだった。
「駄々っ子、とな?」
ややあって、ステファノが繰り返す。ビアンカは、キッと彼を見つめた。
「そうですわ。殿下はアントニオさんに、国王陛下のなさったことを謝罪されたとか。ですが、今の殿下の言動は、陛下と何ら変わりございません。女性を意志に反して、連れ去ろうとなさっておいでです!」
「この……、口を慎まないか!!」
ドナーティが、こめかみを震わせる。だがステファノは、彼を制した。
「よい。ビアンカ嬢の申したことは、その通りだ」
「ですが……」
ステファノは、くるりと踵を返した。
「ドナーティ。帰るぞ」
「はあ……。ボネッリ邸でございますね?」
「違う。王都へだ」
ビアンカは、ハッとしてステファノを見上げた。
(諦めてくださったの……?)
「長時間、世話になったな」
一言そう告げると、ステファノは食堂を出て行きかけたが。ふとこちらを振り返った。
「ああ、パッソーニ殿は共に来るのだぞ? そなたはもう、王立騎士団の一員ゆえ」
御意、とドナーティが頷く。アントニオは、ドナーティに引きずられて出て行ったのだった。