ぜんぶ覚えてくれてるんだ…。
もちろん私もひとつひとつ鮮明に思い出せるくらい、大切な思い出。
「そして今日、このみちゃんと俺の新たな伝説が生まれる場所はここにて」
「あの…、ゆ、結多くん…?」
そっと伸びてくる手。
頬を撫でられて、ぴくっと肩が跳ねる。
「ごめん。公園、楽しみにしてた…?」
「う、うん…」
「次はぜったい行こう。だから今日は俺がこのみちゃんのブランコになる。
いや、なりたい。ならせてくださいお願いします」
「……。」
やっぱりそれはよく意味がわからないよ、結多くん…。
ならせてくださいってお願いされましても……。
「このみちゃん、」
───とんっ。
「わっ、結多くん…っ、」
だめ、覆い被されてる……!
今日のような覚悟を決めた男子高校生は、もはや猿とおり越して虎なのだと。



