「そろそろ俺はクラス全員…、いや、全校生徒に俺たちが付き合ってることを言いたいのですが?」
「そっ、それは…」
「もう10ヶ月と15日。さすがに隠し通すほうが無理だと思いまーす、はーい」
そう、言ってないのです。
わざわざ言わなくてもいいかなって気持ちと、恥ずかしいって気持ちと。
結多くんはわりと人気者だから。
そして私は、男子ともそこまで話さなくて、いつも決まった女の子数人としか関わらないような地味なクラスメイトで。
「普通に学校でも手つなぎたいし、抱きしめてえし、あわよくばキスも。もうぜんぶをさらけ出すオープンワールドで生きたい」
「っ、だめだめ…!だめだよっ」
「このみちゃんは俺の彼女ですって言いふらしたい、まじで。
全国に、いや全世界に、いや宇宙。…俺の愛ってブラックホールにすら飲み込まれない規模なんだよこのみちゃん」
「っ……、」
きっと私の不安が見えている。
だから「大丈夫だよ」って、結多くんなりに伝えてくれているところ。



