わたしの推しはオオカミ王子さま




私がなにか言うのを遮るように……意味がわからない私は、そのまま言葉を飲み込んで、りっくんを見つめることしかできない。



じっと見て、じっと見て……はっとした。



普段ずっとりっくんのことを見ていたから、わかったのかな。りっくんに感じた、違和。



あまりよくわからないけど、確実に違う。



口角は上がっている。王子のような、完璧なスマイル。……ではないの。いつものりっくんの、笑顔じゃなくて。



うまく言えないけど、意地悪そうで、何か企んでそうな、そんな笑みで。



口角の上がり方も。目に光が灯っていないような……暗いからかもしれないけど。



だけど明らかに、いつもとは違う。



見たことない。些細な違い。ちょっとの差。
だけど違うの、いつも見てきたりっくんじゃ、ないの。




「……ほんと、無防備だよね」