わたしの推しはオオカミ王子さま



「迷惑なんて絶対ないよ!本当に今日はありがとう」



スペシャルイベントデーもこれで終わり。


今まで特に仲が悪かったわけでもないし、むしろ仲はいいほうだと思ってきたけど、こんなにもりっくんと喋る機会はなかった。



貴重で、楽しくて、激レア体験でした。


ありがとう、りっくん。明日もまた、朝から目の保養として拝ませてください。



手を振って、家の前の門に手をかけた。



そのまま中に入ろうとした時、ふと、反対側の手を掴まれた。いま、私の手を掴める距離にいるのは紛れもなくりっくんだけで。



すぐにりっくんの顔を見る。いつもと変わらず綺麗で、私の大好きな顔。


だけどそんなりっくんに、少しだけ違和感。



……何?何か違う?



どうしたの?りっくん。なにか、あった?



私が口を動かそうとすると、手を掴んでいない方の人差し指が私の唇に触れた。