わたしの推しはオオカミ王子さま




「りっくん、今日は本当にありがとう。でもごめんね、ずっと勉強見てもらっちゃって……」


「いいって全然。気にすんなよ、俺もあの範囲まだ勉強してなかったからよかったよ」



イケメンすぎる返しが眩しすぎて、もう夜なのにりっくんだけが発光しているみたい。電灯より眩しい。


そう言われたらもう私は「ありがとう」と言うしかなくなる。


優しすぎる彼に、いつか何か返せたらいいな。今も自然に私と歩幅を合わせてくれている。



りっくんを見上げていた顔を前方へ戻す。

あと少しで、私の家に着く。カフェから歩いて10分くらい。長くて短くて、こんなふうにりっくんと隣を歩くこと、今度はいつあるかな。



最初で最後かもしれない。あと数メートル、噛み締めて歩こう。

いつも通る道が特別に感じて仕方ない。りっくんとの帰り道、とかパワーワードすぎる。