わたしの推しはオオカミ王子さま




"ちょっとちょうだい"とは。


それはつまり、私の激甘カフェオレを少し自分にくれないかという意で、私が口をつけたこのストローをりっくんも同じように使うというわけで。同じように、口をつけるわけで。



いわゆるこれは、間接キス。推しと接触イベ?いやいやこれじゃ濃厚イベじゃないか。



「あ、ごめん。こういうの、ダメだった?」




ストップして固まっていた私に、しゅんと落ち込んだような声と眉の下がった子犬が見えてしまって即座に動の世界に帰還。


悲しそうにたれた耳が見える。まるでご主人様に構ってもらえなかったかのような……。


りっくんって、犬属性まで持ってたの……!?



そんなりっくんを見て私はハッとする。



普段のりっくん、今のりっくんを見ても、簡単なことだった。私が改めねばならない。



りっくんは私と違って純粋で深い意味なんて何もない。間接キス!?なんて騒ぐのは私だけ。



隣に座るしゅんとした子犬は、ただ単純に私の激甘カフェオレを飲みたかっただけ。



ただそれだけ。私が変に固まってしまうから、りっくんに私の邪な感情を読み取らせてしまった。ファン失格すぎる。