ふわりと柔らかい、わたあめみたいな甘い声が私の名前を落とした。
振り向いて視界にとらえたのは、私が追いかけ続けている最強の推し様だった。
「り、りっくん!」
「あ?柳本?」
「蓮見も今帰り?大野も?」
りっくんも大野くんもお互いを知っているみたいだ。それもそうか、この二人は学年でもかなり目立つ。
「うん、委員会があってね、大野くんに傘入れてもらってた」
「そうなんだ。連絡してくれれば俺が入れたのに」
私に向けられていた視線が、大野くんへと移った気がする。ちょっとだけ雰囲気が違って見えるのは気のせい? あの、今もまだ慣れないオオカミりっくんに近い気がして。
そんなりっくんに対して、大野くんが眉間に皺を寄せて、暗めのトーンで言葉を返す。
「なあ、こいつ悩ませてるのって柳本なんだ?」
「……何?蓮見のことイラつかせてたのあんただろ」
な、何。一体、何の話をしているのか。
わからないけれど二人の間に流れる温度が低くて暗いものだということはわかる。



