わたしの推しはオオカミ王子さま





「晴れてきたね」



バケツをひっくり返したような大雨は、家に着くより前にすっかり引いて、すぐに太陽が主役に返り咲いていた。


傘を閉じた大野くんの肩を盗み見たら、かなり濡れていた。対して私は全然濡れていなくて。この短時間で大野くんの優しさは私の中で確固たるものになった。


女の子との噂が絶えなくて、いつも不機嫌でだるそうだけど、多分、嫌なやつではない。大野くんへの感情は少しずつ柔らかく緩やかになっていた。



「ありがとう。ていうか、ごめんね。駅と逆方向でしょう」

「別に。そんな変わんない」



そしてすこし、ツンデレなのかも?そんなふうに考えたら親しみやすさポイントが上がった。ふふ、大野くんも可愛いとこあるのかも。



徒歩通学の私と、電車通学の大野くん。駅と反対方向まで来てくれたのは本当にありがたかった。ここまで晴れてきたら大丈夫とそう伝えようとしたところで。



「──蓮見?」