「……別に俺は"りっくん"って呼ばれることも、真面目で優等生で王子だって言われるのも嫌じゃないよ、これも俺だし」 遠くを見つめるようにして言うこの言葉は、本当か、嘘か。 きっとこれは、嘘じゃない。 嘘じゃなくて、気持ちを私に話してくれてるんだと思う。 「でも、前も言ったけど。汐架には、りっくん、とだけ思われるのは嫌だなって」 「そ、それはどういう意味で……」 「鈍い汐架ちゃんは、それくらい自分で考えなよ?」 「……っ!い、意地悪……」 「言ってるじゃん、汐架のことはいじめたくなる」