そしてきっと外から見えているであろう私は今、放課後カフェで勉強なんかしちゃうあの有名校の優秀な生徒、になれているかしら。


シャーペンを持って耳に髪をかける姿は、案外様になってたりして。



市内でも有数の進学校。薄い茶色のおしゃれなブレザーの制服は、すぐに高校名と一致する。



親も親戚も自慢できるような、そんな高校。
私自身、自分の高校は自慢でしかない。もうすでに「自慢の母校です!」と今後出会う誰かに熱弁している姿が目に浮かぶ。



……ただし実際は、その名門校の中でも下の下。


ただの落ちこぼれ。あんなに好きだった勉強は、高校で一年過ごして大嫌いになってしまった。


周りはみんな、私以上に勉強が得意で入学してきた子たちばかりで、他の学校よりうんと速い授業ペースにも難なくついていってしまう。



その速さに対応できず落ちこぼれてしまった、私。




一応やる気はあって、こうしてカフェにまできて参考書を広げるけど、一向に進む気配はない。シャーペンを持った右手は全然動かない。コップを取る左手しか動いてない。