「……いただきます」

 熱々のピザトーストをパクリと口の中に頬張る。カリカリとした食感と、とろっとしたチーズがたまらなく美味しい。

「ごちそうさまでした」

 あっという間に朝ごはんを食べ終えると、すぐに出かける準備をする。

「そうだった。今日は当直だった……」
  
 ふとリビングに飾っているカレンダーに目を向けると、今日は当直の日だということに気づいた。

「行ってきます」

 仕事に出かけた私は、出勤時間の十五分前に出勤した。

「おはようございます」

「おはようございます」

 ロッカー室で白衣に着替え、髪型を少し整えてから、医局へと向かう。

「花霞」

「聖、おはよう」

「おはよう」

 そうだ、デート……。

「花霞、今日当直だろ?」

「うん。当直」

「頑張れよ」

 聖は私の肩を叩いてくれる。

「ありがとう」

 聖は優しいんだ。すごく、優しい。

「じゃあ、俺診察あるから行くわ」

 聖のその背中に、私は思わず「ま、待って、聖!」と呼び止める。

「ん? どうした?」

 不思議そうに振り返る聖に、私は「あの、デートのこと、なんだけど……」とつぶやく。

「なんだ、デートしてくれるんだ?」