「……人手不足だからね、救命は」

「救命はハードだし、誰もやりたがならないってか」

 聖のその言葉に、私は「そういうこと」と返事を返す。

「聖が救命来てくれればなあ」

「やだよ、俺は絶対に救命には向かない」

「過酷だよ、救命は」

 人手不足なんて言ってられない。いる人数でなんとかするしかないからね。

「たまにコンサル来てくれるだけでも、こっちは助かってるよ」

「そう言うけど、外科だって色々忙しいんだからな?」

 そりゃ、そうか……。でも助かってるのは、事実なんだけどね。

「ありがとう、助かってる」

「まあ、おまえの頼みなら、すぐ駆けつけるけけど」

「本当に優しいね、聖は」

 聖のその優しさは、昔からだけど。

「俺は神様だからな」

「なにそれ」

 そんな会話をしているうちに、バスは病院に到着した。

「着いたな」

「ねっ」

 バスにSuicaをかざし、バスを降りる。

「聖、今日オペ何件?」

「今日は二件かな?緊急オペとかが入らなければ」

「そっか。頑張ってね」

 聖は私に向かって「じゃあ、愛のパワーで頑張るか」と言ってくる。

「え、何?また冗談?」

「冗談だと思う?」