でも私が、先生のことを好きだったのは……もう六年も前の話。
 もう過去のことなのに、どうして……。

 先生の笑顔が大好きだった私は、ずっと先生のことばかりを考えていた。
 あの時は、先生のことを思い続けてドキドキして、楽しかったな……。

「……あの頃は、楽しかったな」

 先生のことを好きで仕方なかった私は、先生の顔を見るたびに毎日嬉しさでワクワクしていた。
 先生に名前を呼ばれるだけで、キュンとしていたことを思い出す。

「……先生って、今独身なのかな」

 ーーーえ? って……。私、今何言った?

 いやいや、先生が独身でも別に構わないでしょ? だって……先生と私は、元教師と元生徒っていうだけの関係だよ?
 それ以外、何もないのに……。なのになんで?

「はあ……。コーヒーでも飲もう」

 ベッドから起き上がり、コーヒーを飲むためキッチンに向かう。
 ケトルでお湯を沸かしながら、テレビのリモコンをオンにする。

「今日は夕方から天気が崩れ、雨になる予報です。場合によっては雷を伴うでしょう。帰宅ラッシュの時間帯に大雨になる予報ですので、皆さん傘を持っていきましょう」

 今日は大雨予報なのか……。傘持ってかなきゃ。