あれ……? なんで、綾浜先生なんだろう?

 どうして、先生の顔が浮かぶの……?

 ーーー私、どうかしてる?


「志倉、急患が来る。行くぞ!」

「あ、はい!」

 その後もなぜか、私は先生のことばかりを考えているような気がしたーーー。




✱ ✱ ✱



「お疲れ、花霞」

「……聖?」

 十九時になり、退勤した私に聖が声をかけてくる。

「どうした?」

 私を顔を見て、聖はそう問いかけてくる。

「……え? 何が?」

「おまえ、なんかあった?」

 聖は私をよく観察しているのか、私の隣に座ってくる。

「なんで、そう思うの?」

「なんとなく。 なんか、悩んでるのかなって思って」

 悩んでる? 私が……?

「悩んでは……ないと思う」

「本当に?」

 本当に? そう聞かれると、自信ないかも……。

「本当に……多分」

「……もしかして、好きな人でも出来たのか?」

 そんな真剣な眼差しを向けてくる聖に、私は思わず「えっ……?!」と聖の顔を見る。

「冗談だよ。おまえ、恋愛とか興味なさそうだもんな。……あの時の返事、俺まだもらってないし」

 あの時の……。あっ、しまった!
 わ、忘れてた……。