「え……っと、それって……」

 無理もない。今まで隠していた気持ちをぶちまけたのだから。  
 驚くに決まっているよね。

「先生に、恋してたんです。……私、ずっと」

「花霞……」

 先生……お願いだから、そんな目で見つめないでよ。
 そんな目で……見ないで。

「本気で好きだったんですよ、私。 三年間、ずっと片思いしてたの」

 今更になってこんなこと言うなんて……本当にどうかしてる。
 言うつもりも、なかったのに。……なんでだろう。

「ねえ、先生……?」

「なん、だ……?」

 私は先生に「先生は私のこと、どう思ってた?」と冗談交じりに聞いてみる。

「……やっぱり、言わなくていい!」

「え?」

 キョトンとした顔をする先生に、私は「今さらその答え、聞きたくない。……聞いても、どうにもならないもん」と答える。

「花霞……おまえ」

「大丈夫。先生の言いたいことは、分かってるから」

 今更ながらに、そんなことを望むことなんてない。……今更、多分ない。

「ごめんね、先生。引き止めちゃって」

「それは……」

 私は何かを言いたげな先生に「じゃあ、私行きます。 気をつけてね、先生」とその場を後にする。