「ま、待ってください……!」

 思わず、先生の服の袖をぎゅっと掴む。

「……志倉?」

 先生が不思議そうに私を見つめる。

「私……先生に話したいことがあるの」

 思わず、そう言ってしまった。

「話……?」

「……先生にどうしても、伝えておきたいことがあるの」

 先生のこと……好きだったこと、伝えたいって思ってしまったんだ。
 それを言おうとしているのは、私の中に眠るもう一人の私のような気がしていた……。

「伝えておきたい、こと?」

「……ちょっと、出ませんか?」

 私は綾浜先生を中庭へと、連れていく。

「花霞? 話って、なんだ?」

「……私ね、先生にずっと隠してたことがあるの」

 私は中庭のベンチに座る先生に向かって、そう伝えた。

「隠してたこと?」

「はい」

 私は先生の方に、ゆっくりと身体を振り返る。

「先生……。私ね、ずっと先生のことが好きだったの」

「……え?」
 
 言ってしまった。 ついに、言ってしまった……。
 ずっと抑えていた、三年間の気持ちを。この恋心を、伝えてしまった。

「三年間ずっと……先生のことが好きでした」

 先生の目を見ると、先生は驚いたような表情を見せる。