「志倉先生、お疲れ様です」

 休憩を終えた私は、昨夜処置した患者さんの様子を見にICUへ向かった。

「お疲れ様です。 その後、容態はどうですか?」

「バイタルは安定しています。 ですが、まだ意識は戻っていません」

「……そうですか」

 昨夜の患者さんは大きな事故に遭い、肺と脳を損傷している患者さんだった。緊急で処置をしたが、未だに意識は戻らず。

「昨日の事故のせいで肺が潰れてたから、自分で呼吸するのはやはり難しいですし、このまま人工呼吸器付けておきましょうか。肺がこのまま機能するかは、分からないけど」

「はい」

 片方の肺が潰れている以上、呼吸器を外すことは出来ない。意識が戻るかどうも、まだ分からない。

「相当ダメージが大きいですしね……。回復するのを、待つしかないですね」

「そうですね。……バイタル、こまめにチェックしておいてください」

「分かりました」

 ICUを出て医局へ戻ろうとした時「花霞?」と声をかけられた。

「……え?」

 振り返ると、そこにいたのは、綾浜先生だった。

「綾浜、先生?」

「久しぶりだな」

 なんで先生がここに?

「どうして、先生がここに?」

「診察だよ、偏頭痛の」