「花霞! こっちこっち」

「聖……!」

 そんなことを思いながらも、聖とのデートの日が来てしまった。

「お待たせ。……待った?」

 なんて恋人みたいなセリフを告げると、聖は笑いながら「いーや? 全然待ってないよ」と返してくる。

「そっか」

「……花霞、その服」

 「えっ……?」と自分の着ている服に、目を向ける。
 
「すごい似合ってる」

「あ、ありがとう……」

 普段着ないようなオシャレなワンピースを着ている私に、聖は恥ずかしそうに顔を伏せる。

「その服、俺のために選んでくれた?」

「えっ?」

 そう聞かれると、ちょっと困る……。

「べ、別に……そんなんじゃ」
 
 たまたまクローゼットから出した服がこれだっただけであって、別に聖のためじゃない。
 ……と言いたい所はあるけど、そういうことにしておいてあげようかな?

「ま、まあ、そういうことにしとく」

「ははっ! ツンデレかよ」

 つ、ツンデレ……!? 私が!?

「ツンデレじゃない」

「いーや、ツンデレだろ」

 ツンデレじゃないと言い張る私に、聖はツンデレだと返してくる。

「よし、じゃあ行くか、映画」

「う、うん」