「俺はもう、おまえの先生じゃないよ」

 その一言がなんだか冷たく感じてしまって、それ以上私は、何も言えなかった。



「ごちそうさまでした。ありがとうございました」

「これくらい、お安い御用だよ」

「じゃあ……私、帰りますね」

「ああ、仕事頑張れよ、花霞」

 先生のエールに、私は「ありがとうございます。 先生も、頑張ってください」と言葉を伝え、電車に乗るために駅の方面へと足を進める。

「花霞!」

 先生が、私を呼び止める。

「はい?」

「夜道は危ないから、気をつけろよ」

 先生の優しい言葉に、私は「ありがとうございます。先生も、気をつけてください」と言葉を返し、再び駅の方へと歩き出す。

「……先生」

 先生……私、先生に伝えたいことがあったんだ。 
 あの時言えなかった、好きだって言葉を……いつか言えたらいいなって思ってる。
 
「そんな日が、来るのかな……」

 私たちにいつかっていういつかがあるのかなって、そう思ってる。
 ずっと好きだったって言える日が、来るのかな。……そんな日が。

「いつか話せたらいいのにな……」

 絶対に話したい。 その気持ちだけでも、分かってほしいから。