だって、デート……だし?

「どこだよ?」

「……映画とか」

「定番だな」

 何よ、いいじゃない……。

「いいんじゃね? 映画で決まりだな」

「……うん」

 聖は確かに、かっこいいと思う。医者としての腕もいいし。

「なあ、花霞」

「え、何?」

 聖は突然、立ち止まって私を見る。

「……さっきは、悪かった」

「あ、全然! 気にしないで!」

「あれはただ、つまずいただけだからな?」

 聖のその言葉に、私は「……わ、分かってるよ」と答える。

 そうよ、あれはただつまずいただけよ。……それだけよ。

「……本当は、あのままキスしたかったけど」

「え?」

「いや、何でもない」

 聖のことはよく分からない……。

「ここだよ、サンドイッチの店」

「ここ?」

「二ヶ月前にオープンしたばかりなんだとさ」

「へえ……」

 二ヶ月前……。最近なんだ。
 知らなかったな、こんなとこにお店あったなんて。

「ほら、行くぞ花霞」

「う、うん」 

「ここでいいか?」

「うん」 

 お店に入ってサンドイッチを注文した私たちだったけど、終始気まずくて、味がよく分からなかった。