「……うん。デート、しようか」

「えっ!? まじで?」

 意外な答えだったのか、聖は驚きを見せる。

「なに?誘ってきたの、そっちでしょ?」

「じゃあ決まり。行きたい所、考えといて」

「う、うん」

 聖とデート……。初めてだな、デートするの。
 何度か同期で食事したことはあるけど、ふたりでって言うのは、初めてだ。

「じゃあな」

「うん、またね」

 聖と別れて、医局へと向かう。

「おはよう、杏奈」

「ちょっと花霞、なんか聖といい感じ?」

 医局に入って間もなく、同じ救命医の諸角(もろずみ)杏奈(あんな)が私にニヤニヤと笑いかける。

「はっ!? そんなんじゃないから!」

 と慌てて否定するも、杏奈は「アンタたち、もう付き合っちゃえば?」と言ってくる。

「付き合う……。聖と?」

 いやいや、ありえない!それはない!

「だって聖は、アンタのこと好きでしょ?」

 そう言われても……。

「……それとこれとは、別だよ」

「本当にそうかしら?」

「どういう意味?」

 イマイチ、分からない。杏奈の言ってることが。

「聖、いいと思うけどね、私は。イケメンだし?ハイスペックだし?」