「……理由も聞こうとせずに、健太郎はお義母さんの味方をするんだね」
私は二人に背中を向けてキッチンに立ち買ってきた食材を冷蔵庫に詰めながら、溢れる涙を手の甲で拭った。
結婚したら幸せになれるんじゃなかったっけ?
これが幸せ?
そんなわけない。私の結婚生活はまるで地獄のよう。
奴隷のようにこき使われ、自分の意見も言えず、理由も聞かずにお前が悪いと責め立てられる。
「悪かったね、母さん。優花にはあとでよく言って聞かせるから」
「いいのよ。もしかしたら、生理かもね。そういう時って女はイライラしやすいから」
「ははっ、そうかもな」
後ろで下衆な話をする二人の声に耳を塞いでしまいたくなる。
違う。
結婚前、私はこんな生活を望んでいたわけじゃない。
こんな風に生活する為に、私は結婚したんじゃない。
じゃあ、何のため……?
そうだ。私は幸せを手にするために結婚したんだ――。