「生井さん、冷たいうちにどうぞ」
「ありがとうございます」
お礼を言ってシャインマスカットを口に含むと、甘みが口いっぱいに広がった。
粒に張りのあってみずみずしくてジューシーだ。
「お、美味しすぎる……!!」
「ははっ、喜んでもらえてよかった。実はトマトそろそろ赤くなるかなって思って、取り寄せておいたんです」
「どういう意味ですか……?」
瀬戸さんの言葉の意味が分からずに聞き返すと、瀬戸さんは少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。
「この間うちに来てくれた時にトマトをおすそ分けしてくれると言っていたのでそろそろかなと思って」
「私を……待っていて……くれたんですか?」
「すみません、なんか気持ち悪かったですね」
「ち、違います……!そうじゃなくて嬉しくて」
「嬉しい?」
今度は瀬戸さんが聞き返す。
「私なんかのことを待っていてくれたことが嬉しくて」
「私なんか、じゃありませんよ。俺は生井さんを待っていたんですから」
何の前触れもなく放たれた彼にとってなんの意味も持たない言葉は私の胸を熱くさせる。
胸の奥底から沸き上がる切ない感情の名を私は知っている。
もう抗いようもない。私は目の前で美味しそうにシャインマスカットを頬張る彼に心を奪われてしまったのだ。
「またまた!お上手ですね」
冗談ぽく言って、シャインマスカットを口に含んで感情ごと飲み込もうとする。
健太郎と結婚していなければ、きっと私は彼を手放しで好きになっていただろう。
ふわりとした優しい笑顔を浮かべて私の存在を認め、欲しい言葉をくれる。
結婚相手に選んだ健太郎とは正反対の瀬戸さんのことを……。
「実をいうと私も月曜日に瀬戸さんのお宅にトマトを届けようと思っていたんです」
「そうだったんですね。じゃあ、月曜日にまた待ってますね」
意外な瀬戸さんの言葉に目をしばたく。
「ありがとうございます」
お礼を言ってシャインマスカットを口に含むと、甘みが口いっぱいに広がった。
粒に張りのあってみずみずしくてジューシーだ。
「お、美味しすぎる……!!」
「ははっ、喜んでもらえてよかった。実はトマトそろそろ赤くなるかなって思って、取り寄せておいたんです」
「どういう意味ですか……?」
瀬戸さんの言葉の意味が分からずに聞き返すと、瀬戸さんは少しだけ照れ臭そうに微笑んだ。
「この間うちに来てくれた時にトマトをおすそ分けしてくれると言っていたのでそろそろかなと思って」
「私を……待っていて……くれたんですか?」
「すみません、なんか気持ち悪かったですね」
「ち、違います……!そうじゃなくて嬉しくて」
「嬉しい?」
今度は瀬戸さんが聞き返す。
「私なんかのことを待っていてくれたことが嬉しくて」
「私なんか、じゃありませんよ。俺は生井さんを待っていたんですから」
何の前触れもなく放たれた彼にとってなんの意味も持たない言葉は私の胸を熱くさせる。
胸の奥底から沸き上がる切ない感情の名を私は知っている。
もう抗いようもない。私は目の前で美味しそうにシャインマスカットを頬張る彼に心を奪われてしまったのだ。
「またまた!お上手ですね」
冗談ぽく言って、シャインマスカットを口に含んで感情ごと飲み込もうとする。
健太郎と結婚していなければ、きっと私は彼を手放しで好きになっていただろう。
ふわりとした優しい笑顔を浮かべて私の存在を認め、欲しい言葉をくれる。
結婚相手に選んだ健太郎とは正反対の瀬戸さんのことを……。
「実をいうと私も月曜日に瀬戸さんのお宅にトマトを届けようと思っていたんです」
「そうだったんですね。じゃあ、月曜日にまた待ってますね」
意外な瀬戸さんの言葉に目をしばたく。



