「夕飯の買い出しに行ってきます。ついでに本屋さんにも行きたいので少し遅くなります」
「そう。ついでにビールも買ってきて。お米もあと少ししかないわよ」
「……分かりました」
車は健太郎が乗っていってしまったし、自転車もしくは徒歩で買い物に行くと分かっていながら義母は平然と言ってのける。
お互いに小さな優しさを持ち想像力を働かせることができればきっともっとうまくいくのに。
「いってきます」
ソファに寝転び録画していた韓国ドラマを見始める義母に告げてリビングを後にする。
義母は私の声が届いているはずなのに、「いってらっしゃい」とは言ってくれなかった。