「お邪魔……しました……」

私は、弱々しい声を吐きだす。


笑顔にはなれない。


神様がかけてくれた『恋の魔法』が
消え去ってしまった。

そんな苦しみで
心が押しつぶされているから。



やっぱり琉衣くんは、戻ってこないか。



悲しみをまといながら
玄関ドアを開け、外に出る。


色とりどりの花が咲き誇る、広いお庭。


全ての花がモノクロに見えるのは
私の心が
すさんでいるからかもしれない。


私は悲しみのため息を吐きながら

一人むなしく
広い庭をとぼとぼと歩いた。