「琉衣くんってすごいね」
「僕がすごい?」
「ずっと私が抱え込んできた
醜い感情があるんだけど
琉衣くんが笑ってくれるだけで
綺麗に浄化できちゃうの」
優雅にステッキを一振りで
相手を笑顔にできる
本物の王子様みたい。
「私には琉衣くんが
魔法の国から来た
王子様に見えることがあるよ」
私はフフフと笑ってみた。
「僕は魔法なんて使えないけど」
納得できないような顔の
琉衣くんが可愛くて
私は笑いが止まらない。
「わかった。言いに行かないよ」
「ほんと?」
「ほんとだよ。
お姫様のお願いを聞くのが
魔法の国の王子の使命だからね」
良かったぁ。
琉衣くんが、いつもの
キラキラ笑顔を取り戻してくれて。
琉衣くんは椅子に座り
「自分で魔法の国の王子って
言っちゃった」と
恥ずかしそうに頭をかいている。
フフフ、本当に可愛い。
これで、一件落着っと。
さぁ、琉衣くんに
赤点ギリギリの世界地理を
教えてもらわなきゃ。



