「僕がイラついてたの、顔に出てた?」
「……うん」
「それはごめん。本当にごめん」
手を合わせて
必死に謝らなくてもいいよ。
「琉衣くん、とりあえず座って。
すっごく目立ってるから」
「あっ、そうだね」
琉衣くんはオロオロしながらも
椅子に腰かけてくれて一安心。
でも、怒っていたことは
否定しないんだ。
「あの…琉衣くん……」
「なに?」
とっても言いにくい
ことなんだけど……
「琉衣くんを怒らせるようなこと
私、なにか言っちゃったかな?」
「えっ?」
もしかして……
「放課後に予定が入ってた?
妹の芽衣ちゃんとショッピングとか」
それなのに私がお昼休みに
赤点ギリギリのテストを突き出して
勉強を教えて欲しいなんて
頼んだから…イライラって……
「違う、違う。
勘違いさせちゃってごめんね。
イラっとしたのは
小雪ちゃんのことじゃないよ」
「ほんと?」
「ほんとだよ。
小雪ちゃんは僕の癒しで、
僕のお姫様なんだからね」
僕のお姫様って
告白してくれた時も言ってくれたけど
地味な私には
お姫様のドレスなんて似合わないよ。



