穏やかな気持ちで
私は世界地理の教科書を開く。
教室のあちこちから聞こえる
私の悪口。
どんどんエスカレートしているけど
気にしない。
まぁ、耳には入ってきちゃうけど。
「小雪ちゃんって
中学の時も陰キャだったらしいじゃん」
「ばい菌扱いされて、クラスメイトから
泥水をぶっかけられたことも
あったんだって」
「小雪ちゃんが汚い子だって
琉衣くん、絶対に知らないよね?」
「うちらが琉衣くんの目を
覚ましてあげた方がよくない?
だって絶対に
小雪ちゃんよりうちらの方が可愛いし」
言われたい放題だな、私。
アハハハ~~。
でも放っておこう。
言われている内容は、事実だし。
大好きな人が
私のことをちゃんと見ててくれる。
それで十分だから。



