わたしはバカ。
すごく、バカ。
だから仕方がないと思う。


ズキズキと電気が走るような膝の痛みに耐えながら、涙をこぼしそうになった。
動けばアルファルトの小石がジャリ…と傷にあたり顔を歪ませてしまう。
アスファルトの上で四つん這いになり、咄嗟に両手を出した手のひらからも、血が滲み出ていた。


ついさっきまで、わたしは普通に歩いていた。小学校から家までの道のりをランドセルを背負いながら歩いていたはずだった。
そんな時、突然背後から、体当たりされるような強い衝撃が訪れ、──ドン、っと、私は倒れ込むように転んだ。


その瞬間、笑い声が聞こえて。


体当たりされたのは、故意によるものだと分かったのは、今日の教室内の出来事があったから。
教室内でも、私は紙くずを投げられた。


「おいおい、やりすぎだろ」


また、笑い声がした。
面白がっているその話し方に、目を向ければ、2人の男子がいた。


「そうか?この前の方が、ひどかったじゃん」

「あー、あれな!」



血が出る膝の痛みを我慢しながら、私は泣きながらその場を離れようと、足を動かした。


「おもんね、今日は言い返してこねぇのな」


最後から、本当につまらなさそうな声が聞こえた。
私は、この2人の名前が分からない…。
でも、2人は私のことをよく知っているみたいで。


「でも、ウシオ、さすがに怪我させるのはやりすぎ」

「大丈夫だろ」

「そうか?」

「そうだろ」

「まあ、あいつバカだしなぁー、大丈夫か」


私は、バカ。

私はバカ……。



「ああ、明日になれば、もう今日のこと覚えてねーもん」