ひと夏のキセキ

私が何も知らずに仲良くなった人たちは、実は皆の高嶺の花ですごい人たちだったんだ。


チラリと葵を見ると、呆れたような視線を二人に投げかけていた。


「うちの学校ちょっと変なんだよ。別にあたしらは普通にしてるつもりなんだけどな」


「普通にしてても目立つ存在なんだね」


葵は美人でボーイッシュだからカッコいいし、遥輝は言わずもがなだし、他の青涼のメンバーもカッコいい人が揃ってたもん。


「なに関心してんだか。遥輝が聞いたら怒るぞそれ」


「なんで?」


「キャーキャー騒がれるのが嫌らしい。あの顔で騒ぐなって言う方が無理あるのにな」


葵は他人事といったようにケラケラ笑った。


葵や遥輝は、ドラマで見るようなキラキラした主人公のような存在なんだ。


そう思うとどこか寂しくて、2人が遠くへ行ってしまった気がした。