ひと夏のキセキ

「でも、絢と話してると楽しいし、1番自分らしくいられる気がする」


トクントクン…


真っ直ぐに伝えられた言葉に胸が高鳴る。


もっと遥輝のことが知りたい。


もっと遥輝の近くにいきたい。


こんな気持ちになったのは初めてだ。


「遥輝らしい遥輝ってどんな感じなの?」


私は遥輝のことを何も知らない。


私の話はよく聞いてくれるのに、遥輝は何も話してくれないから。


メッセージのやり取りでも、さっきの病室でのようにはぐらかされてしまう。


「俺の話はいいって」


ほら、また。


いつもいつも話したがらない。


「私はもっと遥輝のことが知りたい。だめ…?」


遥輝を見上げながらお願いすると、はぁぁ…っとため息をつかれてしまった。


「ごめん…。聞かれたくな―」


「お前さぁ、自分が可愛い自覚ある?」