ひと夏のキセキ

治らない病気の女にそんなこと言われて、嫌がられないかな…?


恐る恐る遥輝を見上げると、遥輝は私の大好きな柔らかい笑みを浮かべてくれていた。


「こっちにラウンジみたいなところがあるの」


今度は逆に私が遥輝の腕を引き、1つ下の階のラウンジに案内する。


ラウンジは隣がキッズコーナーのためか、ちびっ子たちがたくさんいていつも賑やかだ。


この中には大変な病気を患っている子もいるはずなのに、それを感じさせない明るさで、ここにいると元気を貰える。


ちょうど空いていた二人がけソファに腰を下ろすと、ずっと手を握りっぱなしだったことに気づく。


「わっ、ごめんっ!ずっと手…。嫌だったよね…?」


私ったら何してるんだろう。


いくらなんでも図々しかったよね…。


「嫌じゃねーよ」


「ほんと!?」


よかった…。


遥輝には嫌われたくない。


こんな私と初めて仲良くなってくれた異性だから。


病気なんて関係ないと言ってくれた初めての存在。


遥輝とずっと仲良くしてたいな…。