ひと夏のキセキ

「絢にどうしても会いたくて、お義母さんに連絡取ったとき、“祭りのときは酷いこと言ってごめんなさい”って謝られた。ずっと気にしてたらしい。俺のことまで心配してくれて、良いお母さんだよな」


そっか…。


「…ありがとね、遥輝」


「俺は何も」


フッと笑って立ち上がる遥輝。


「もう帰っちゃうの…?」


「外で葵たちが待ってるから。絢を独り占めすんなって怒られる」


葵たちに会えるのは嬉しいけど、遥輝との時間が終わってしまうのは寂しい。


次いつ会えるかもわからないし、会えないかもしれないのに。


「そんな顔するな。空港まで見送りに行くから」


「ほんと??絶対だよ」


「うん。じゃあまた後でな。葵たちがうざかったら追い返していいから」


「そんなことしないよ…。ありがとう、遥輝。また後でね」


これが最後の別れじゃない。


だから大丈夫。