ひと夏のキセキ

遥輝が箱を取り出して、パカッと開く。


中の指輪は今のものより高級感があって、ゴールドに光り輝いていた。


「その指輪より良い指輪買ったから、アメリカにはこっちつけていってほしい」


「え……ホントに…?」


想像もしていなかったことに思考が停止する。


「指、出して。…右手じゃなくて左手」


「う、うん…」


遥輝が指輪を手に取り、ゆっくりと丁寧にはめてくれた。


薬指がキラリと光る。


「サイズ…よくわかったね」


だいぶ痩せて前の指輪はぶかぶか。


それなのに、どうしてピッタリのサイズがわかったんだろう。


「絢のお母さんにこっそり測ってもらった」


「お母さんが?」


…私、お母さんのこと誤解してたんだな…。


私と遥輝の仲を引き裂こうとしてるんじゃないかって思っちゃってたけど、全然そんなことなくて、私のことを本当に大切に思ってくれてるんだ…。


あとでお母さんにもお礼言わなきゃ。


それと、もう一度ちゃんと謝ろう。