ひと夏のキセキ

「お前、それは反則」


…え…?


「何が…?」


「うるうるした目で上目遣いすんのやめろ」


そう言ってパッと離れていってしまった。


寂しい。


もっとギュッしてほしいのに。


「…お前…可愛すぎ」


ボソっと呟く遥輝の顔は少し赤いし、珍しく目が泳いでいる。


「…遥輝も、可愛いね」


愛おしい。


もっと触れていたい。


離れたくない。


「うるせーよ。ほんとお前と話すと調子狂う」


「…ひどい」


もっと近くに来て。


抱きしめてほしい。


あまり動けないから自分からハグしにいけないのがもどかしい。


腕を伸ばして、遥輝にハグをせがむ。


「なに、抱きしめてほしーの?」


「…うん」