ひと夏のキセキ

この温もりに触れてしまったら、もう離れられなくなっちゃうよ…っ。


「いっぱい傷つけてごめんな。もう泣かせないって誓ったのに、また泣かせちゃって、俺情けねーな」


規則正しく頭を撫でてくれる遥輝。


少し低くて柔らかな大好きな声。


好き。


やっぱり私、どうしても遥輝のことが好きだ。


忘れるなんてできない。


このまま終わらせることもできない。


「好き…」


大好きだよ、遥輝…。


ずっとずっとそばにいたいよ…。


「ん。知ってる」


…っ!


遥輝のイジワル、久しぶりだ…っ。


夏祭り前までの楽しかった想い出の数々が鮮明に蘇る。


「もう一回言って?」


「…っ、なに…を…?」


遥輝の胸に埋めていた顔を上げ、目を合わせる。


目があったのはいつぶりだろう。


あのプラネタリウムが最後だから…3週間ぶりくらいかな…。


自分で選んだ道だけど…長かったな…。