ひと夏のキセキ

「絢の気持ち、教えて」


もう、どうにでもなればいい。


自分勝手だと思われてもいい。


「好き…っ。遥輝のことが、好きだよ…っ」


ぎゅっ…


遥輝の体温が全身に伝わる。


久しぶりのハグ。


ずっとずっと、求めていた。


本当はずっとこうしてほしかった。


もう、できないと思ってた。


「う…っうぅ…っ」


「泣くなよ…。俺はずっとここにいるよ。絢のことを一生を懸けて大切にするから」


頭、首筋、背中。


遥輝の手の温もりが優しく移りゆく。


「わた…っし…は…っ、遥輝のこと…っ…幸せに、できない…っ…だか…ら…っ」


「ったく…。何言ってるかわかんねーよ?落ち着いてからゆっくり話せばいい。もうどこにも行かないから」 


「っうぅ…っあぁ…っ」


優しくしないで…。


ぎゅってしないで、撫でないで。