ひと夏のキセキ

“前にも伝えたでしょ”

“もう好きじゃないよ”


その言葉が喉まで出かかったけど、口にはできなかった。


代わりに漏れてくるのは嗚咽だけ。


もう、自分が何に泣いてるのかも分からない。


死ぬのが怖い、遥輝と話したくない、アメリカに行くのが怖い、遥輝と二度と会えないかもしれないのが怖い。


いろんな感情がゴチャ混ぜになって溢れ返っている。


「ほんと…泣き虫だな」


「……うるさぃ…っ」 


「やっと反応してくれた。嬉しい」


っ!!


あぁ…。


遥輝はどこまでもズルい人だね…。


もう、終わりにしたい。


楽になりたい。