ひと夏のキセキ

「それなのに、今さら諦められないとか、生温いこと言ってんじゃねーよ」


「……」


「…って、あたしは思ってる。お前が撒いた種じゃんって」


俺、この前絢にちゃんと謝ったっけ。


傷つけてごめんって心の底から言った?


“女遊びしてるのを知って冷めた”


この言葉、あの時は本心じゃないって思ってたけど、実は本心だったのかもしれない。


絢のことならなんでも分かってるつもりだった俺は、本当に馬鹿だ。


「でもさー、それはあたしが勝手に思ってるだけで、案外絢は追いかけてきてほしいって思ってたりすんのかもな」


「……何が言いたいんだよ」


「…わかんない。あたしも頭グチャグチャなの」


あんたと一緒でね、と葵は笑った。