ひと夏のキセキ

「あたしが暴走して、あんたに喧嘩売った日あんじゃん?」


「…あぁ」


「あのあと、真生と2人で絢に会いに行った」


「そこで真生が俺の女遊びを伝えたのは知ってる」


「知ってたんだ?じゃあ、それを聞いた絢が大泣きしてたのは?」


……。


大泣き…。


「最初は気持ちを押し殺して、淡々と話してたんだよ。だけど、次第に堪えきれなくなって、“元に戻りたい”って…。あたしがそれ聞いてどんな思いだったか、あんた分かるでしょ。絢を笑顔にできるのはあんただけって何度も言ってんじゃん」


…俺が想像していた何倍も、俺は絢のことを傷つけてたんだ。


自分が弱いせいで。


「自分だけがツラいって被害者面して、周りのこと見えてなかったんだよ、遥輝は」


葵の言う通りだ。