ひと夏のキセキ

一度絢から離れて気がついた。


俺はあいつじゃなきゃ楽しくない。


あいつだから一緒にいたい。


でも、気づくのが遅かったんだよな…。


「これからどーする?絢はずっと面会謝絶だし、連絡も返ってこないよ」


「どうにかする」


最悪、アイツを…親父を、頼ればいい。


できる限り頼りたくないけど、致し方ない。


「そんなに絢のことが好きなんだ」


葵が冷めた口調と目つきで俺を見てくる。


「当たり前だろ」


「じゃあなんで女遊びすんだよ」


…まだその話すんのか。


「今はもうしてない。関係切った」


「で?切ったら女遊びしてた事実は消えんの?」


……。


これは俺と絢の問題。


葵にそんなこと言われる筋合いはない。


けど、葵が言ってることは正論だ。