ひと夏のキセキ

「ノアさんだっけ?彼女と仲良くすればいいんじゃない?私より遥かに美人だし、健康だし、一緒にいたら楽しいでしょ」 


こんなこと言いたくない。


ずっと私と一緒にいてほしい。


でも、ダメ。


私なんかと一緒にいたら、遥輝は幸せになれない。


「だから、俺はお前じゃないとダメだっつってんだろ」


「きっと勘違いだよ。私も最初は遥輝じゃなきゃダメだって思ってたけど、別にそーでもないなって最近は思うし」


せっかく決意したんだから。


とことん突き放さなきゃ…。


「…どういう意味?本気で言ってる?」


「私の嘘は全部分かるんでしょ?分かんないってことは、本気ってことだよ」


ごめんね、遥輝。


幸せになってね。


「…お前さ、なんでそんなに俺を遠ざけようとすんの?」